不動産投資マガジン

医師の不動産投資基礎知識:「積算評価」と「積算価格」の計算法

2017.02.15
不動産投資

医師が独立する際の開業資金など、銀行の融資を受けるタイミングがあります。その際土地や建物といった不動産価値を総合評価する方法を「積算評価」と言います。「積算評価」とはどんな評価なのか、「積算価格」はどのように導くのかについて、具体例を交えながらご紹介していきます。

積算評価とは

積算評価とは、銀行が融資する際にデフォルトした場合の担保となる、土地と建物の評価額を合計した価格です。算出方法(計算式)は共通していますが、計算で用いる家屋・建材の耐用年数や使用目的による価格を各銀行ごとに決めているため実際の積算評価額は異なります。

積算評価の計算式

積算評価 = A. 土地の評価額 + B. 建物の評価額
A. 土地の評価額 = 路線価 × 敷地面積(㎡)
B. 建物の評価額 = 延床面積(㎡) × 再調達価格 × (残存年数 / 法定耐用年数)

まずAの土地評価額から解説していきます。

●路線価

路線価とは相続・贈与税の評価する際の1㎡あたりの基準価格です。1㎡当たりの路線価を敷地面積の分だけ積算して、土地の資産価値を評価します。

次にBの建物の評価額についてです。

●再調達価格

再調達価格とは、その建物を再築・修繕するために必要な資材の想定価格です。銀行によって建材の想定価格が異なりますが、おおむね以下のような評価がされます。
木造・軽量鉄骨(プレハブ) 12-15万
重量鉄骨 15-18万
RC(鉄筋コンクリート)・SRC(鉄骨鉄筋コンクリート) 18-20万
建材によって経年劣化や災害への耐久性が分かれ、さらに銀行によって建材ごとの価格設定が異なります。資産運用をする上では、それぞれの建材が持つ特性を投資戦略に活かす必要があります。

●法定耐用年数と残存年数

減価償却資産の価値である法定耐用年数のうち、債権などの償還期日までの残り期間である残存年数がどの程度残っているかを表しています。
法令耐用年数は、建材の種類と建物の利用目的で異なります。例えば各建材を住居目的で利用した場合の法定耐用年数は以下のようになります。
木造・軽量鉄骨 22年
重量鉄骨 34年
RC・SRC 47年

医師の不動産投資基礎知識:「積算評価」と「積算価格」の計算法

具体的な例

それでは仮に、住居利用する以下のような物件を持った場合の具体例を見てみましょう。
敷地面積 800㎡
路線価 95000円
築年数 25年
材質 RC
延床面積 720㎡

A.土地の評価額 = 95000 × 800
= 76,000,000円
B. 建物の評価額 = 720 × 200,000 × ( 25/47 )
= 76,595,744円

積算評価額 = 152,595,744円

自身の戦略を理解してくれるパートナーを。

医師は職業的信頼から独立開業時などでも融資を受けやすい特徴があります。一方で、十分な自己資金を用意できることから、医師に大規模物件ばかり押し売りする管理会社の営業も多いようです。
資産さえあればRC材の一棟買いがベストというわけではなく、木造でも修繕費や固定資産税などの経費が安く済むといった特性があります。積算評価額を考慮に入れた融資を受け、医師の境遇やご自身の戦略を共有できる管理会社と共に、無理のない経営方法を検討しましょう。

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